実話に基づいた切ないでも勇気づけられる話。ヒーロー映画じゃないし、激しい戦闘があるわけでもない、若い綺麗な魅力的な人が出てくるわけでもない。刺激を求めるだけなら面白くはないかもしれない。でも僕はこの映画のメッセージにとても共感したし良い映画と思った。
主人公フォレスト・タッカーは銀行強盗の天才。コートの内側に隠してある銃を銀行のカウンターで見せることで強盗に成功していた。しかし言葉遣いも丁寧で一人も殺したことがないし優しい強盗だった。
パトカーから逃げる途中に車が故障して動かなくなって困っている女性を助けるフリしてタッカーが車を止める。その女性がタッカーが恋をするジュエルだ。
タッカーはジュエルと親しくなり自宅に招待してもらう。ジュエルは夫を亡くした未亡人でものすごく広い土地を持ち良い家に住んでいる。
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警察のジョン・ハントはなんとかしタッカーを捕まえようと必死になっていた。しかしジョンはタッカーがなかなか捕まらないのとジェントルマンということに尊敬までするようになっていた。そしてタッカーもジョンのことを敬意を払うようになっていた。
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ある日タッカーはジュエルと食事をしているときにジョンがお店にいることに気づく。ジョンがトイレに向かったあとカッターが後を追いかけジョンに話しかける。ジョンのネクタイを絞めてあげて丁寧に対応し、別れ際にジョンは「フォレスト」と名前を言ってもいないのに呼び止める。お互いすでに目的の人が目の前にいたことを知っていたのだ。
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その夜、タッカーはジュエルににキスをし分かれた後、自宅戻り警察に捕まることとなる。
タッカーはジュエルに嘘をついていることをきちんと伝え、出所後ジュエルの家で過ごし足を洗って幸せに暮せるかと思っていたが、
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タッカーはジュエルが寝ているときに声をかけ、ちょっと出て行くよと言って出て行ってしまう。そして公衆電話で警察のジョンに電話してちょっと話だけ話し、話の途中で突然電話を切って銀行に向かいだす。強盗をまたするのだ。
感想
切なかったところは大好きなジュエルと一緒にいることも選べたのに、それでも銀行強盗をしようとしたこと。残されたジュエルや辞められないカッターの気持ちを考えると悪い人間だとしても悲しく切なくなってくる。こ
映画はほとんどが真実らしいがちょっと違うところがある。
実際のタッカーはあまりカッコいい顔ではない。若いころの写真で右が映画で左が本人。
1980年代の写真は映画とは全く違う顔をしている。
警察のジョンハントももちろん違う顔で雰囲気も違う。
いくつかのサイトが言うのはカッターの恋人ジュエルはジュエル・センターというタッカーの三人目の妻となった人らしい。映画内ではウェスタン風な風貌で農家っぽいが、実際は違うらしい。タッカーとジュエルが会った場所もマイアミのプライベートビーチで農家とはかけ離れた場所。
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タッカーの娘といわれているGaile Tucker
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タッカーは2004年、83歳でなくなっている。原因は専門家がいうには血液内に血の塊ができそれが徐々に脳に送る酸素を減らしていったことだと言われている。
ジュエルによってタッカーのお墓に名前も死んだ年も刻まれている。そしてジュエルは2005年4月4日にタッカーを追うように亡くなっている。83歳。
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アメリカでは銀行強盗がヒーローのように扱われていることが過去に何度かある。一人も殺したことがないし銀行は襲うがお金のないものからお金を取らない、ジョン・でリンジャー。同じく金持ちからしか奪わないジェシー・ジェイムズ、銀行強盗後に大勢の人の住宅ローンを解放させたプティボーイ。あまりにも有名になった悪党たちは普通の生活ができなかったに違いない。タッカーは強盗にスリルを求めていたかもしれない、そこに中毒になっていたかもしれないでもそういう生き方をずっとしてきていたから、そういう生き方しか出来なかったんだと思う。悪党として最後は殺されたもの、タッカーのように最後は獄中で死ぬもの。悪党として生きた人の行き方だから、悲しく切ない別れであっても受け入れなければいけない。それが悪党であっても相手を尊重することになると思う。
タッカー役のロバート・レッドフォードの最後のパフォーマンスであり最後のラブレターであるこの作品。カッターがどんな状況になっても人を殺さず、笑顔を忘れずユーモアを持ち続け、次から次へと止まらず進んでいく。僕は少なからずこの行動に驚かされた。タッカーは言う
「ドアが閉まったときどうすると思う?窓を飛び越えるんだよ」
「悩んだときは僕達が小さい頃にしたことを考えるんだ」
大人になればいろんなことにがんじがらめになってしまい身動きなんてできなくなる。今の世の中と僕たちに欠けているのはこういうことなんだ、と思わされた映画だ。簡単にいうと子供の心を忘れないで、というメッセージはいろんな映画で見ることができる。よくあるメッセージだけどロバートが最後に送るラブレターとして選んだことが興味深く感じる。
出典:IMDb