【漫画・感想・ネタバレ】うずまき

ホラー漫画の「うずまき」だけどたまに見ると読み続けてしまう面白さがある。
ホラーは苦手なのにものすごくグロくないしむしろ色んな渦巻きがでてきて意外性に惹かれるときもある。漫画のキャラ設定で面白い漫画かどうか決まりそうだけど「うずまき」はキャラ設定よりうずまきによって起こる色んな怖さが新鮮で面白い。ただ人が死んだシーンを見せるより個人的には怖かったり魅力的に見えるのだ。どうやってこんなアイデアを思いついたんだろうって本当に感心する。

味噌汁をぐるぐる回して渦を作るとか子供がやりそうなことなのにそれをホラーにしちゃっているのも面白い。

点滴も呪われちゃってる。呪われ方が細かくてキャラがたっていなくても面白い。

壷を作っているシーンでも普通の形の壷のはずがいつの間にかねじれた壷になっている。渦巻き型の壷製造機みたいなものか、と勝手に思えばなかなかすごい装置だ。

体がねじれて身動きができなくなった二人だけど「お父さん・・・もうやめて 私達はもう二度と離れない」

といって海の中に消えていく。人間だったのに海の中で呼吸できるようになったのか、もう人間じゃなくなったのか、ホラー漫画なのに二人の美しい愛が描かれていてなかなか面白い。

髪の毛が渦巻きみたいになって化け物みたいに髪が人を掴んでいくがそれでも天高く伸びる髪型はまるで海外のアーティストの変わった髪型にも見えてまた面白い。
うずまきの髪は生気を吸い取る髪らしい。
とってもアートティスティックで面白い。

髪の毛が電柱に絡みうずまきが出来ているところなんか西洋アートのグスタフ・クリムトのアートの部分にも似ていて密かに面白い。また日本伝統的なアートにも見えてきてアートとホラーの側面がうまいこと組み合わさっているように思う。

渦が描かれている尾形光琳の紅白梅図屏風↓

グスタフ・クリムト 生命の樹 Tree of Life↓

つむじ風が大きなトルネードみたいでつむじ風に見えなくても気にならないむしろ面白い絵の表現に見えてくる 笑
ドラクエのバギクロスみたいだけど 笑

体から腐った体がちぎれてバネが出てくる。すごい 笑
車に巻き込まれて死んだ後、前輪のバネが体の中にくい込んでそのままになっていたらしいんだけど、無理があるにしても発想が面白い。
なかなかゾンビゲームでも「体からバネが!」ってきかない 笑

うずまきの呪いでデンデン虫になってしまうとか、ホラーだけどあまり怖くない。
最後には先生までデンデン虫になるけどそれを見る生徒の顔が怖がっているわけでもなくたじたじする人、興味深く見る人がいる感じでどういう心の持ちようなのか興味深かた。先生もついにカタツムリか、面白い!って思っているのかなぁ。
どうやってカタツムリの格好で学校まで来たのか謎である 笑
バスに乗れたのか車の運転はできたのか、みんな注目しなかったのだろうか。
うずまきを読んだ後はエスカルゴを食べられないだろう 笑

灯台の中の壁に渦巻き模様ができて暗闇の中で発光するけどその僕のイメージはジブリの洞窟みたいな綺麗なものなのかなーって思ったりもした。呪われた灯台で灯台のライトが光ると灯台にいる人が燃えちゃう恐ろしい罠があるのも意外で面白かった。

病院で妊婦が呪われて襲ってくるところがなんかサイレントヒルの敵っぽいなぁって思ったり。類似点は病院で女性が武器を思っているだけだけど。笑い方が「ほほほほほほ」っていうのもなんか面白い 笑

出産のために血が必要だったから血を吸おうとしていたとは呪われていたとはいえ敵がすべて悪いわけではないように思えてくる。ホラーなのに相手のことを応援してしまいそうだ 笑

赤ちゃんが突然ギロッてなるのはちょっと怖いけどなんか面白くも見える 笑

赤ちゃんがしゃべるのも呪われているからだろうけど、なんか怖さを通り越してちょっとかわいいというか面白い。ボスベイビーみたなものか。

でもその後の妊婦が襲ってくるのは気持ち悪かった。

おばあさんがモンスターみたいになるんだけどホラーというよりファンタジーワールドみたいに感じてきて怖さが徐々になくなってきた。でも面白い。怪獣みたいで嫌いじゃない。

竜巻を操る人たちは楽しそうで「イェーイ」とかいうところはまるでクロノトリガーの波乗りジョニーみたいだ 笑
いや、北斗の拳の雑魚キャラか 笑

「合体せよ!」とかもうホラーというより戦隊者かどこかのゲームの敵か必殺技にしか見えなくなってくる。

何故かガメラみたいなのが描かれていて気になる 笑

街の渦の中心に向かうと中心の地下部分には渦巻きの世界があった。そこに父親母親が石になっていたのだ。
そこで二人(秀一と桐絵)のカップルが逃げることができないことを知って抱き合って呪いに取り込まれ手もグネグネになるけどそのおかげで街の呪いがなくなるのだ。愛は世界を救うということだろうか。ホラー漫画なのになんか切ない。この二人は死なずに助かるのだ。

しかし、終わったと思った呪いは再び現れる。また呪いが起こっているのを感じるという秀一。新しい銀河を見つけるのが好きな島野も呪いにかかりテレパシーで秀一と会話ができるようになる。島野が銀河を自分だけが見つけるという欲望にかられ最後は空がうずのまく銀河のようになりいきなり銀河が光、島野の顔が電子レンジの中の卵のように破裂する。
それ以降、呪いは起こらなくなり漫画は完結するのだ。
欲深すぎる人はのろいで死ぬというある種の道徳みたいなものかな。ホラーなのに奥深い。

うずまきは普通のホラーとは違いシュールさ、グロテスクさもありながらアート的な要素がたくさんあるとてもユニークなホラー漫画だと思うし、H.P.ラブクラフトやシュールなギャグを含みつつもホラーが好きなら惹かれるんじゃないかと思う。本人は真剣なホラーかもしれないけどところどころ笑えてくるのもいいし、愛を含むストーリーと見て面白い意外性とアートの組み合わせはまた見たくなってくる。グロいだけゴアばかりというのは最近多いけど、それよりも断然面白い。まさにアートなのだ。恐怖と作者の笑いと美的センスが重なり独特な作者のアーティストックビジョンを見せている。うずまきは強迫観念のようなものもあり不気味さ恐ろしさに深みがあり、ただのハリウッドホラーに飽きてきたのもあるかもしれないけど、ハリウッドホラーと比べても明らかに特徴的なホラー漫画だツッコミどころもいくつもあってそこもまたいい 笑
「うずまき」は知っている人には外国人にも通じる日本語だ。それだけ海外にはうずまきファンが多いんだと思う。ラブクラフトファンは世界中にいるから漫画うずまきが日本的なラブクラフトの世界だと思うとなかなかの興味深い怖さと面白さを秘めていると思う。
ラブクラフトが何なのかわからない人はラブクラフトの世界を映画化した映画カラー・アウト・オブ・スペース遭遇やラブクラフトとは直接関係ないがラブクラフトに影響を受けた監督が作ったホラー映画ゴーストランドの惨劇を見るとなんとなく分かるかもしれない。

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