【漫画感想】電人N グロい漫画

本の表紙を見てなんか面白そうだなぁと思って読んだ作品。
サスペンスホラーのような感じでグロいシーンがちょこちょこ出てくる。他の作品よりグロ!って思うシーンもあってページを開いてビックリしたほどだった。

グロいのは良いんだけど最初のアイドルたちがちょいセクシーなのでそんなチョいエロ要素があるのかと思いながらみていたんだけどほとんどなかった。最初だけだった。

マンガより映画を見ることが多かったのでまじまじと漫画を見比べたことがなかったが読んでいてなんか好みでない絵なんだよなーって思えてきて、その原因は背景に一つの答えがあったと思った。
電人の背景は写真をトレースもしくあ簡易トレースしたような雰囲気がありトレースでも漫画のような雰囲気にしているより実写っぽくそのまま使っているような雰囲気がある。そこが冷たさを感じて漫画の面白みを感じなかったのだと思った。

例えば漫画「終末のノスフェラトゥ」では写真をベースにしているかもしれないけど写真にはない書き込みがたくさんされているように思う。多少雑には見えるものの面白みがある絵で冷たさを感じない。

終末のノスフェラトゥのシーン↓

「死神坊ちゃんと黒メイド」では絵の描きこみが少ないが漫画調に描かれた雲や手抜き感のあるビルも漫画の雰囲気を醸し出しているように思う。そこが漫画の面白みを高めていると僕には感じる。もちろん人それぞれ好みは違うだろう。

死神坊ちゃんと黒メイド↓

電人N1巻では「6時間かけて切断されたんだよ」というシーンは2ページにわたって大きな絵が使われビックリしたがどこか躍動感やリアリティのようなものを感じなかった。それの理由は背景と同じように静止したものをトレースした背景に心のようなものを感じないように人物にもどこか漫画が見せる人間味を感じなかったからじゃないかなと思った。つまり絵を描くのが好きというわけではないような雰囲気を与えてくるのだ。作者は描くのが好きだったとしてもどこか好きでない印象を僕には与えてきた。
それと人物にあまり魅力を感じない。これは性格ということではなく見た目の魅力が感じなかった。わかりやすいのが女性。
勝手に漫画家でもない僕が批評して批判しちゃうけどそれも僕の感想だ。携帯に映されている女性はかわいい雰囲気がある。髪にも躍動感があり顔、体のバランスも良い感じだ。明暗があまりなくあまり好みではないがカワイイ雰囲気はある。

一方、アイドルが歌うシーンでは髪に流れはあるもののものすごく固い印象を受ける。この作者女性を描くのが好きじゃないのかただ手抜きしているだけなのかわからないが髪を見ても動きのない印象を与えてくる。絵は下手でも「へたうま」というのもあり下手でも面白くかわいくうまく見えたりする。女性だけでなく他の人物やグロいシーンも僕には固い印象を与えてきて悪く言えば「やっつけ感」があって技術的に言えば静止画をコマごとに張り合わせて文字の「ドン」とかでなんとかして動きをだそうとしている印象を与えてくるのだ。「やっつけ感」を感じるとせっかくのグロシーンがなんかよく見るとグロくない感じに見えてきてなんか違うと思うってくるのだ。
動かない背景ばかりたくさん描いているからかもしく人間などを動いていないものを参考しながら描いているからか命を感じない。
アートにおいても死体をみながら描いている人は絵が死んだ人のようになってくるように命のないものばかりもしく命を吹き込むように描いていなければ動きのないロボットもしくはどこか死んだ人のように見えてくるのだ。リアルとバーチャルの境界のように生きているようで死んでいるようにも見える顔。電人の作者のグロシーンに細かな描きこみがないのでそこまで人体に興味を持っているわけでもないのだろうが躍動感のない人物からはまるで死の宣告があるかのように死への布石のようにも感じてくる。
電人Nの魅力がグロなので死体をたくさん見て描いているのかもしれないがそのおかげで全体的に死んでいるように見える不気味さもある。そこも漫画の魅力でもあるのだろうけど。僕がものすごく怖く感じたのが映画ハウスジャックビルドで死人を使ったアートなんだけど死んだ男の子の顔を笑わせるのは普通のホラーの残虐シーンよりも気持ち悪く怖く道徳観にも突き刺さるものだった。電人Nの死んでいるのか生きているのかわからない顔からは少しだけどハウスジャックビルドのように死体で遊んでいるような嫌な恐怖も感じる。

「ドン」で好きなのは女性アイドルのシーンとは違うけどワンピースやら笑うセールスマンやら躍動感がものすごく出ている。

グロシーンで細かく描いていないリアリズムに拘ってないのにグロいなぁと思うアートがある。それはフランシス・ベーコン「ヴェラスケスに影響を受けたインノケンティウス10世の肖像画」やエミール・ノルデ「生者の仮面Ⅲ」などである。

フランシスコ・ベーコンの絵からは躍動感があり現実にはありえない雰囲気ではあるが恐怖や気持ち悪さも感じてくる。

エミール・ノルデは細かくは描いていないのに気持ち悪くどこかグロくも見えてくる。堅苦しさはなくどこか躍動的で見ているだけで気味が悪くなってくる。

これらのアートからは絵ならではの感情表現が出来ていて絵ならではの魅力が出ている。現実のパースや現実をトレースしたものよりも真実を見せ、見るものに衝撃を与えてくるのだ。

ちなみにホラー漫画「うずまき」は写実的に背景を表現していないため躍動感や不気味さが出ている。どこかゴッホの絵の雰囲気も感じられる。絵ならではの魅力だと思う。

ゴッホの作品↓

電人Nのよかった点は第一印象でグロさにビックリしたこととストーリーが気になるのでまた読みたいと思えたことだ。背景や人物の絵は僕の好みではなかった。

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