アメリカの店員に細かい注文を言い続けていたら・・・・

アメリカは雑で食べ物を注文しても注文通りに来ないことがある。
例えばちょっと細かな注文したときである。

アメリカで、あるメキシコ料理店に何度も通っていたとき全く注文どおり作ってくれなくて困ったことがあった。

パンはちょっと焼いてほしい、サワークリームはいらない、ドリンクはカップいっぱいにしてほしい。氷もいらない。それで持ち帰りにしてほしい。

店員は愛想よく注文を受けるわけだけど、出てきたのは焦げすぎたパンにサワークリームはなくても代わりにチーズを入れ、氷もしっかり入っているジュースがやってきた。

「サービスで気をきかせたのか間違いなのかはわからないけどチーズを入れてくれたのは嬉しい。でもそれは今回いらないんだ。気分じゃないんだ。パンの焦げ具合は食べられたもんじゃない。氷はいらないんだ」

と改めて店員に言うと作り直してくれるんだけどこんなことが何度もあるのだ。

氷を除けないなら注文したときに除けないことを言ってくれればいいのにそんなこともない。
僕が変な注文しているわけじゃなくて僕は食べたいものを注文しているだけでそれを出来ると言うのに結局出来ない店員側に問題がある。

アメリカでは細かく注文する人が多いと思っていたのに意外と僕のよく行くお店ではあまりいないようだった。

トラブルが多いせいか店員がやめていくことも多い。忙しい昼時に細かく注文したときに新しく入ってきた店員が注文を愛想よく受けてドリンクを準備をしていときに

「ドリンクはすでに大きなビンに氷と一緒に入っていて氷を取ることはできない」

というのである。

僕は他の店員はやってくれるのに何で今回はやってくれないんだろう?と思って

「いつもやってもらっているし氷は取れるからきちんととってほしい」

というとその店員は「出来ない」と言いきるのである。

さらに持ってきたサンドウィッチが油でべちょべちょで袋に油がにじんで持ちづらかったからビニール袋(プラスチックバッグ)に入れて欲しいと言うと、そんなの知らないというのである。その新人店員は何もしらなかったのだ。出来るというのに後から出来ないそんなの知らないというのは後だしジャンケンみたいで好きじゃない。そしてその店員はすぐにお店をやめてしまった。

そしてまた新しく入ってきた店員にお客がネットにアップロードしたレビュー写真を参考に同じようなのがほしい、きちんと野菜が細かく切られていて食べ物の上に散らされているようなのがいい、と伝えたらまた愛想よく受け入れくれた。この料理は名前がわからなかったのでネットの画像を参考に注文した。

そしてやってきたものを見るとオーダーしたような野菜は散らされていないし、100歩ゆずって散らされているといっても申し訳ない程度。これではまったく食欲がそそられない。そこでまた写真を見せて文句を言うと作りなおしてくれるのである。それでもまだ野菜が足りないと思ったけどこんなもんだろうと思って妥協しつつ受け入れた。
さらにお店を離れているときに気づいたのがサービスでいつももらえているトルティーヤチップスがないことに気づく。
そこでまたお店に戻ってチップスがないことを伝えるともらえるんだけどこんなことが何度もつづくのだった。

そんなある日、またチップスがないので同じ店員にチップスをもらいに行くといつもよりチップスがたくさん入った袋をくれたのである。

「あーなんて今日はいい日なんだろう。こんなにサービスしてくれるなんてアメリカはやっぱり懐が大きいなぁ」

とウキウキしながらお店から出てた。
そしてまたお店に別の日に行くと実はたくさんチップスが入った袋は別のお客の注文だったことがわかったのだ。気前がいいと思ったのにやっぱり気前なんてよくなくて適当なだけだったのだ。がっかりした。しばらくするとその店員はやめていった。

そして別の日に同じ食べ物ばかり注文するのも飽きて違う注文をすることにしてた。

チーズがたっぷり入った料理だけどそのチーズがあまりおいしくなくて家に持ち帰って好きなチーズをいれてオーブンで焼きなおそうと考えてチーズ抜きを注文していた。
何事もなくいつも注文できていたのに別の日にいた新しい店員に注文したときだった。

「チーズ抜きは絶対に注文を受けられない、この料理はチーズ外せない!」

と、キリっとした顔で自信たっぷりにいうのである。

しかし僕もいつも作ってもらっているのに何で今回だけそんなこというのはわからずに

「いつもやってもらっているのになんで今回できないの?やってほしい。」

というと相手は絶対無理といいつつも僕はいつもつくってもらっているのに何故?とちょっとした押し問答があったあと結局最後は受け入れてくれたのだ。
押し問答と言っても相手は「出来ない」、僕は「いつも作ってもらってるのになんで?」しか言っていない。お互いケンカしたいわけじゃないし、僕の言い分もおかしくないわけで相手としては否定しようがない。
いつもやってもらっているんなて知らないしその注文は無理だと思うんだけど、と思っていたと思う。そういいながらキッチンに確認しに行ったのだった。

もちろんキッチンスタッフはいつも通り作ってくれる。
でも後でわかったが、この注文はかなり無理のある注文だった。
チーズ抜きでつくると料理としてなりたたないだけでなく料理しづらいみたいでチーズ抜きはありえない料理だったのだ。チーズがメインなのにチーズ抜きでも金額はかわらないのも実はお客にとっても損なのである。
さらにこのときはものすごく忙しいときに細かく注文してしまったから新しいバイトも働いていて僕の注文を初めて受ける人ばっかりだったのだ。そのためいつもキッチンスタッフが作ってくれているとは知らないのですんなりオーダーできなかったのだった。そしえ押し問答でなく「いつも作ってもらっているからキッチンに確認してほしい」というべきだったと反省。

でも無理な注文だったならそう教えてくればいいのに一番最初に注文を受けた人が適当でなんでも受けれていたんだと思う。そういうのはあるあるで注文を受ける側が愛想よく受け入れるけど後で大変になるのはキッチン側なのだ。キッチンからするとそういうのは注文して欲しくないのである。でも暇のときに優しいホールとキッチンスタッフがいたら受け入れてしまうこともあるのだ。

そんな事情がわかり次回からはその注文をやめたのだった。細かい注文はお店が暇なときに注文しようと改めて思った。そうしないとトラブルが起きてしまう。

そして今度はまた新しい店員がやってきた。いや、店員が大幅に変わっていたのだ。もしかしたら僕の注文のせいでトラブルが多いからと店員の解雇、移動などが行われたのかもしれない。
今回来た店員は明らかにベテランだった。動きが違う。

いつも通り細かく注文するといつも通り愛想よく対応してくれた。でもやっぱりそのベテランは今までの店員と違っていた。

なんとミスがないのである。

焼いたパンもキッチンにしっかり伝えて良い感じに作ってくれて、ドリンクも氷をいれないことを忘れない。カップにはたっぷりのジュースだ。サワークリームも入っていない。いつもならチップスを入れ忘れるところにきちんとサービスのチップスも袋に入れている。ただ袋が油でべちょべちょだったので一度だけ文句を言ったが、それからずっとビニール袋に入れてくれる。

完璧だ。ただものじゃない。

さらに驚いたのが忙しい昼時に注文したときもミスがないし記憶力が良くて細かい注文なのに二度目でも覚えているのだ。これはすごい。こんな人がアメリカにもいるのかと当たり前のことをしているだけなのに驚くし感心して尊敬さえしてしまった。アメリカにいると普通の基準が下がるのだ。アメリカだと複雑な注文なんて覚えない人もいるしむしろ覚えられない人がいるかもしれない。アメリカには笑顔もくれない店員がいる中、このベテランは接客態度も良くて笑顔をくれるし挨拶だってしてくれる。

あるときそのお店に新しいバイトだと思える人がやってきた。忙しい昼間で僕が行くといつもベテランが注文を受けてくれるんだけど今回は忙しすぎてベテランは僕の対応ができなかった。バイトが僕の注文を受けているときのベテランの顔が慌てているのが見て分かる。

もしかしたらベテランは

「この注文はちょっとめんどくさいからバイトには難しい、うわぁぁぁどうしよぉぉお」

と思っていたかもしれない。

さらにそのバイトはあまり僕の英語が聞き取れず聞き取れないのに分かったフリをしているのがわかった。そもそも英語が得意じゃないようで細かな注文を英語でされるとわからないというのをベテランは知っていたのだろう。でも僕はきちんと分かるように出来るだけ説明して最後には愛想よく店員は受け入れてくれたのだ。

さてさて、きちんと注文通りにくるなか?とワクワクしていたら、

なんと、きちんと注文通りに来たのだ。

すべてそのバイトがドリンクを準備し氷もなし、キッチンにパンを焼くように依頼しに行ってくれてサワークリームもなし。ビニール袋がなかったけど二回目からはきちんとくれるようになった。

ただこの店員は適当なところがあってジュースを適当にカップに入れてカップいっぱいにしてくれないことが何度かあったのだ。もちろん文句を言って追加でジュースをもらった。持ち帰りだからカップにいっぱいにしておきたいのだ。

しかしこのバイトには驚いたことがあった。

それは適当に分かったフリしながらもミスがほとんどないのは気転がきくからだと思うんだけどやっぱり他の店員と違うのはオーダー受けた後、出来ないと思ったら交渉しに来ることである。

「氷を取り除くのは完璧に出来ないかもしれない。それでもいいかな?」

そんなことを言ってきたのはこの店員が初めてだし僕は嬉しかった。前にやめた店員は氷を取り除けないといい訳ばかりする人だったが、今回は少し入ってもいい?と確認してくるのだ。

「もちろん、いいよ」

と言ったあとの少し「ニヤ」っと笑った顔が忘れられない 笑
まるで

「言えばわかるじゃん、へへっへ」

と言わんばかりの顔だ。

出来ないならできないでいい、ただ後でごちゃごちゃいい訳を言われるのが嫌いなのだ。注文を受けたけどできないと思ったら無視して自分勝手に作って適当な人が多いからこそコミュニケーション能力が高いし誠実な人だなぁと思った。

そしばらくして面白い変化があった。

それはベテランのバイトへの対応が変わったのだ。
僕が行くとベテランがいつも対応してくれていたのに、いつの間にかにバイト任せになっていた。つまり、僕の少し細かい注文によってバイトはベテランから信頼を得ていたのだ。
そしてベテランが一時的に店にいない時もバイトはお店を任せてもらえていた。

これは僕のおかげかもしれない。
細かな注文に対応ができなくてやめていく人がいるなか、それに対応できる人はお店にとっても貴重な人材なのだろう。
この時すでに僕は顔パスで食べたいものが食べられるようになっていた。

そしてまた一人新しいバイトが入ってきた。高校生かな?という感じで食べ物を運ぶだけで注文対応はいっさいしていない人だった。でも何度かお店に通うと注文対応もさせてもらえていたが僕の場合はいつもの手慣れたバイトかベテランが対応していた。

しかしあるとき、やっぱり忙しいときだった。

他の店員が僕の対応ができないくらい忙しくて高校生バイトが僕の注文を受けることになったのだ。他の店員の焦りっぷりには少し笑いそうになった。

「やばい!注文を受けてもきちんと受けられずキッチンに混乱がおきてめちゃくちゃになっちゃうーーーーあわわわわ」

と聞えてきそうな顔であたふた焦っているのである 笑

でも驚いたことにその高校生は僕の英語もすぐ理解し細かい注文もさらっとこなしてしまったのだ。しかもミスもない。僕の英語を分かったフリで気転だけでどうにかやってきたもう一人のバイトとは大違いである。
それからだ、その子が僕の注文を受けるようになってから僕がいつも行く時間にいつものバイトは安心して休憩していたのだ。

つまり、新しいバイトがお店からの信頼を得ていたのだ。

やっぱり僕のせいでやめていくバイトがいる中、僕のおかげで信頼を勝ち取っていくバイトもいる。いい事をしているのかもしれないと思ったりもした。

しかし、僕はあることを考えている。それはバイトにとっては新たな試練かもしれない。

それは、あるアクシデントでキッチンスタッフが丁寧に梱包してサンドウィッチを焼いてくれたことがあった。アルミホイルで包むだけでなくパンを紙の様なもので包み、パンが崩れづらいようになっていてさらに食べやすいように3等分にカットされていた。これは僕の注文以上に丁寧に作っている。ここまでやってくるならもう一度やってほしい。これをまた注文するとお店は少し混乱するだろうし忙しくなるかもしれない。でも僕はそれが食べたいのだ。毎回は顔パスで対応をする店員は混乱するだろう。でも僕はときどき違うものが食べたいし最近は顔パスが息苦しい。

わがままだろうか?そんなことはない、むちゃなことを言うのはわがままかもしれないけど僕はそんなことを言っていない。注文をして出来ると言うからやってもらっているだけだ。今回もやってくれるはずだ。

どんなにお店がざわつくか、そしてどんなドラマがあるのか楽しみだ。

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