原題はDead in a Week: Or Your Money Back
自殺がテーマのブラックコメディで笑える映画なはずなんだけどちょっと共感できなかった。主人公のウィリアムの苦境は全く小説家として芽が出ずに人生に絶望し自殺を繰り返すのだけど絶望を感じて自殺を繰り返しているんだけ、現代社会で小説家を目指していて売れないから絶望を感じて自殺を繰り返す人ってあまりいないんじゃないかなって思う。ウェブ小説なんかは多少なりとも見られている反応もあるだろうから手ごたえや楽しさもあると思う。小説家として芽がでなくて絶望を感じる人って現代日本では珍しいレベルの貧困で精神的な理由や病気がある人なんじゃないかなって思う。貧困でまともに食べ物も食べられなければ精神的にも不安定になるだろうから自殺に繋がるっていうのはわかる。日本だと100円のコーヒーが払えないって人だって自殺を選んでいないと思うから、映画の説明であった現代社会を映す映画というのはどんな部分のことを言っているんだろうって考えていた。
ウィリアムは自殺に何度も失敗しているけど死を実感していないから、映画の途中で殺される死を実感して生きようとする。死を自覚することで自分の可能性を見つめなおし生きる力になるのかもしれない。現代社会は死を自覚することがないからもっと自覚しようって意味なのかもしれないけど、そんな深く重い意味はあまり感じられず映画はたんたんとサラッと話が進んでいく。自殺に葛藤する主人公がメインかと思えばエミリーと仲良くなってちょっとした青春ドラマになっちゃってて現代社会を映す映画というのは自殺も恋愛でなんとかなるっていうメッセージなのか?なんて思ったりもした。恋愛できたからって自殺願望の人は立ち直るってわけじゃないと思うんだけど。いまひとつ物足りない映画に思えた。
笑える映画だと聞いていたのにあまり笑えなくてちょっと残念だった。自殺と言えば映画ハッピーデスデイがあったけどそちらのほうは笑えたし面白かったことから同じ自殺でも淡々としたストーリーに恋愛話だけになってくると物足りなくなるんだなぁって思った。
恐らく監督は生きることと絶望、そして生きることから愛を感じるストーリーにしたかったんじゃないかと思う。ホラー映画ゴーストランドの惨劇のように絶望があるから生を感じ愛を感じるように、今回に映画がコメディだけどもっと絶望を見せて欲しかったし、どこかホラー要素ももっとほしかった。でも映画は流れる音楽は軽快で絶望なんて感じない楽しい感じになっている。そう考えるとなぜハッピーデスデイがコメディであり自殺を扱っているのに面白いのかが見えてくる。ホラー要素があって緊張感が少なからずあるからだ。コメディであって壮絶なシーンがあり涙が出そうになるくらい本気で生きてるから面白いのだ。それが今回の映画では薄っぺら過ぎるように感じる。
しかし死がテーマだからこそエミリーとウィリアムの間に愛が芽生えたんだと思うけど、こんな薄っぺらい状況で愛が生まれるように、現実でもジェットコースターに乗って愛が芽生えたりあぶないところに行くと愛が生まれたりするとは思う。でもそんな恋愛感情ってすぐ冷めてしまいそうだから今回の映画で見せる愛も薄いんだろうなーって思ってしまった。ウィリアムが小説家ならもっと深いところに愛を見出せるんじゃないかと思うのだけどそれがなくてちょっと残念だった。
ウィリアムが飛び降り自殺をしようとしたときにちょっとおどおどビクビクして飛び降りようか迷っている。飛び降り自殺をしようとする人はあまりにも高い高さで多少の恐怖を感じることがあると思うのだけどここまでビクビクするだろうか?と思ったのだ。むしろ恐怖はあってもビクビクはしないんじゃないかなって思うのだ。飛び降り自殺をする人は叫ぶこともなく死ぬためビクビクするウィリアムを見ていると自殺をテーマとしているはずなのに本当は死にたくないんじゃないかなって見えてくる。
出典:IMDb
殺し屋のレスリーは殺し屋と思えない優しい雰囲気があり殺すシーンでも笑顔があってどこかかわいらしい。
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エミリーは可愛くてエミリー役のフレイア・メーヴァーを見ただけでも価値があったと思った。
出典:IMDb
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ちなみにウィリアム役のアナイン・バーナードは何かに似ているなぁって思っていたら彫刻家ミケランジェロのダビデ像に似ている気がする。完璧には似ているわけじゃないけどどことなく似ている。ダビデは色々な人が作っていて作った人によって顔も多少違うのでアナイン・バーナーがダビデをしても違和感がない 笑
ぽこちん丸出しだけど世界が認める芸術作品。カールのかかった髪形といい、横顔が特に似ている気がする。ダビデ像って男性の肉体美を計算して作られているから当時の男性の理想とする体なはずでモテる男だったじゃないかと思う、だから遺伝で現代まで残ってダビデ像みたいな顔のアナイン・バーナード生まれたのかなーって思ったりして。
彫刻のように美しいアナイン・バーナーって思う人はいると思うけど、ダビデに似ていると思ってからはもう彫刻っぽいよなーって本当に思えてきた 笑
そう考えると映画の見方が変わってきてもう一回「やっぱり契約破棄していいですか!?」を見るとダビデ像が自殺しようと苦悩しているように見えてきて興味深く感じた 笑
フレイア・メーヴァーの似ている人はちょっとわからないけどフランスの絵画とかに出てきそうな雰囲気はある。メーヴァーの英語のアクセントはイギリス人のような強いアクセントが少ない気がするのはスコットランド人だからだろうか、イギリスとアメリカの間っぽいアクセントにも感じる。
フランスの画家アドルフ・ブグロー↓
実際にイギリスのテレビドラマthe White Queen seriesでプリンセスエリザベスをメーヴァーは演じていてヨーロッパの絵画に出てきそうな雰囲気は出ている。綺麗な役が多い気がする。