【感想・ネタバレ・考察】ANNA/アナ 女性の強さを見せ爽快であり自信をくれる映画

アクション映画って内容は空っぽのエンタメ映画でつまらないんだろうなぁと思いながらとりあえず見てみよーっと思って見た。
そしたら、

「何この女性、かっこよすぎ!」

って思って惹き込まれた。

もちろん見た目も服も変装も見ごたえがあっていいけど生き方もかっこいい!キック・アスをはじめて見たときも女の子が激しいアクションを男達をぶっ殺して行くのは爽快感があったのと似ている。性の対象の女性、弱々しい女性というイメージを払拭させる強い女性の魅力に魅了されてしまう。
この映画を薄っぺらいという人はいるだろう。キックアスだって薄っぺらいけど面白いのはかわいいのに強い、かわいいだけじゃないトレーニングをしっかりしただろうと思うアクションに尊さと畏怖の念さえ感じるからだ。

ANNA/アナは過小評価されていると思う。

これは親も亡くなってドラッグに染まっている彼氏との生活に絶望を感じる主人公アナが新しい居場所を手に入れるけど、そこでも愛に振舞わされ絶望を感じ、それでも自分の信じることを貫き生きようとする、感動のヒューマンドラマだと思う。
舞台は80年代で現代よりも男性社会で女性は男性に服従して生きることが多い時代だと思う。ドラッグ漬けの彼氏といてもスパイになっても奴隷みたいなもの。そんな苦しい時代に自由を求めて生きようとするアナを映画を見ていると応援したくなってくるのだ。

ドラッグ漬けの彼氏に振り回され一度は自殺しようとしたアナだったけど自由になれることを条件にKGBのスパイになる。手首を切るのとか見るの好きじゃない。

アナはドラッグ漬けの彼氏に信頼を置いていたがKGのアレックスが
「君に父親は君にそんなこと(自殺)させたいのか?男を信頼するな、君自信を信頼するんだ」
という言葉にアナは自殺をやめる。
自分自身を見つめてこれなかったアナだからこそ自分を見つめることと諭されたことで思考と行動が変わったのだ。アナは洞察力がすごくKGBもそこに惹かれているのだ。

ドラッグ漬けの元彼↓
出典:IMDb

アナの前に勧誘するために現れるKGBのアレックス。アナの彼氏を撃ち殺し死ぬかKGBのスパイになるかの決断をさせる。
出典:IMDb

手首を切って自殺をしていたが気持ちが変わって血を止めている。
よく助かったなぁ。
ちなみに右側に置かれているロシアのサルみたいな人形チェブラーシカがかわいい

出典:IMDb

条件付で生きるチャンスを与えられ約束を守れば自由になれるはずが、約束するものは常に約束を破るのが常。アナは約束を破られアナにとって家族にもなりえる愛する人と決別するために自ら大切な居場所を離れる決断をし、男のためでもなく組織のためでもなく自分自身のために生きる心の葛藤を描いた作品だ。抑圧からの解放という点などから人によってはフェミニズム映画だと言うだろう。いやただのフェミニズム映画ではない。新しいフェミニズム映画と言っていいかもしれない。フェミニズム映画は女性が男性を不快に侮辱していくようなものが多々あると思う。しかしANNAは違う。男性をリスペクトしさらに女性としても魅力を出しているのだ。

細い体のモデルが何人もの相手を倒し、不可能と思われるミッションもやり遂げるのは現実味はない。しかし、それでも綺麗なのに強い女性がなぎ倒すものは男性主導の映画、社会へのアンチテーゼになっているだろう。スーパーヒーローは飽きるけどスーパーガールはクールで見ていて楽しい!
最後もウルっとさせられアナを振りまわし裏切り続ける男性と男社会をかっこいいアクションでぐちゃぐちゃにし殺していくのは爽快感がある。最初のアクションシーンは予想外からの巻き返しですごくて圧倒される。

緊張感のあるシーンで渡された銃は不良品の銃?メンテナンス不足?で玉が発射されない!やばい状況から銃をボディーガードから奪い任務を成功させる。

出典:IMDb

華麗な銃の使い方やモデルと思えない格闘技やその場にあるものを武器にして戦う姿は見ごたえありだ。

出典:IMDb

最初のアクションシーンで強そうな男性があっさり殺されていくのに髪を束ねた男性は少し長く戦っている。これは男性らしさとは違うものを見せ付けたい意図があるように思う。

出典:IMDb

血だらけなのにどうやって帰ったんだろう、と僕は思った。

「うぉぉぉ、アナ、すごいぞ!」

って思いながらモデルと残虐性というギャップが、華麗でありながらもかっこいい強い女性像を見せ、日本で多い弱々しい女性像とは大きく違うアナに僕は惹き付けられた。

「”トラブル”っていうのは決して(トラブルがあるとは)警告なんてしないだ」
というオルガの冷酷さを感じさせるストーリーとともに言うセリフはアナに生きる厳しさを突きつけてくる。
これがロシアの姐御なのか、おそロシヤ 笑

洞察力がすごくて冷酷なオルガ↓

出典:IMDb

カメラマンが「思い出して、あなた達はお姫様、男装や女装している人じゃない、出来ればフェミニンエナジーが見たい。」
「そのままのポーズでいて!」
と言うけど、それが気に入らなかったのかアナはモデルなのにカメラマンボコボコにしちゃう。
アナは本当に女性らしいというが嫌いなんだろうなぁ。
ちょっとやり過ぎかな感じもするがフェミニストの怒りは想像を絶するということか?

出典:IMDb

個人的に注目したのはモデルが三人で映っているシーンのリップだ。アナ以外は赤リップなのはアナが今までの女性とは違うことを意味していると感じる。私達はお金が必要だから、カメラマンの言うとおりにしてほしい、と思う二人と違い、アナが偉そうなカメラマンをボコボコにするのことこそ自由と解放を意味しているだろう。

出典:IMDb

アナが赤リップの時は露骨なハニートラップを仕掛けるときだ。ほとんどのシーンでは赤リップをしないのでアナは赤リップが嫌いなんだと思う。古い考え、男性目線の中でしか生きられない女性ではないのである。

出典:IMDb

映画は何度もどんでん返しがあって予想できないことが起こっていく。
「アナ・・・マジか・・・」
「ウソだろ・・・」
と思わされる。

アクションまでやや展開が遅いかなとは思うのとストーリーは最初見たときは少し混乱したりアクションはやや無理があったり歴史に沿っていないということもあるけど、結果としてそんなこと気にならずエンタメとして楽しい。
でもあとでわかってくる最初から仕組まれていた展開には「そうきたか!」と綺麗で強いだけじゃなく作りこまれたストーリーがいい意味で期待を裏切っていく。

低評価もあるけど見所だらけで楽しい映画なのでアマゾンやRotten Tomatoesでも評価は低いわけではなく高い評価となっている。一般の人からすると愛着も持てて見ごたえがあったということだろう。ドイツとアメリカのアマゾンでは高評価なのはアマゾンプライムで公開されているということと、ジェンダー問題にどちらの国も関心が高いということが関係しているかもしれない。
この二つの国の例からして日本で評価がもし低いとなるとジェンダー問題に疎いのかな?と疑ってしまう。そもそも日本はジェンダーギャップへの関心が欠けている国として言われてはいるけど。

男性が女性がというジェンダーに縛られずレズという同性愛も見せ、堅苦しい男性社会を壊していくかのように戦うアナは抑圧された現代社会で自分自身を貫ぬこうとする女性そのもの。そして男社会が心に欠けるならアナが百合に走るのは分かる気がする。これは現代でも起こっていることそのものだ。つまりこの映画はレズ、バイセクシャル映画でもある。
残念なことに心が満たされるのは同性だけという人は意外に多いのではないかと思う。
セックスにあまり一般的なエロさがないのもフェミニズム感がある。
男性が作り出した官能性な従順な女性ではなく本能むきだしの女性の荒々しさをセックスで見せていると思う。それがアナの言う自由の一部なんだと思う。ただレズを含んでいるからと言ってレズの性交が今回あるわけではなく男性とのみの性交が含まれている。だけどこの男性たちは映画から離れて現実社会を見ると下記でも少し説明しているが異性愛者でないのがわかる。
わざわざ異性愛者でない男優との性交を見せるのは「男性」に固執した映画ではないんだなと僕は思った。

出典:IMDb

常に誰かに管理されて生きてきたアナは家族と言えばKGB(ソ連連法保安庁)の男性とCIA(中央情報局)の男性だ。

KGBのアナが愛するアレクセイ・チェンコフ(アレックス)

出典:IMDb

洞察力がすごいCIAのアナが愛するレナード・ミラー

出典:IMDb

やっぱり一番印象に残るのは最後だ。(ラストについて話すので映画をネタバレが気になる人は注意)

アレックスのことを愛していたアナはアレックスがアナに約束した5年後に自由になれるというのがウソだと知る。そしてアナは言うのだ。
「もし自由になれる方法をいつかみつけたら、あなたは(KGBじゃなくて)私のところに来る?」
アレックスは「出来る限りのことをする」
という。ハッキリしない。
結局、最後でもアナはアレックスに「もし自由になる方法見つけたら私の側に来る?」と尋ねるがアレックスの答えは変わらない。アレックスはアナの気持ちがわからない、典型的な男性なのだ。
どちらも彼女を裏切りそれでも愛そうとするのである。アナは良いように使われだけのようになっていることにやりきれなくて悲しいだろう。そんな気持ちから解放するための命をかけた決別を見せるのだ。彼女の大切な人への気持ちと彼女が逃れず苦しんでいる気持ちに終止符を打ち最後はウルっとしてしまう。

二人を呼び寄せ二人にキスをしてすべてをここで終わらそうとするアナ。

出典:IMDb

出典:IMDb

出典:IMDb

アナがそれぞれの組織から盗んだ情報を二人に返すのだけど、CIA側はすんなり受け入れてがKGB側はすぐには受け取らなかった。これはKGB側のアレックスはCIA側よりも男社会でありアナの考えをなかなか受け入れられなかったが、短い時間だけど葛藤があったことでアレックスは受け入れるのだ。CIA側を演じるキリアン・マーフィーは同性愛を演じた映画「プルートで朝食を」などからアレックスを演じる見た目が強そうなルーク・エヴァンスとは対照的な位置づけだと思う。CIAとKGBが対照的というのとジェンダーに関する意識も対照的ということだろう。だからCIA側がアナの考えをすんなり受け入れる設定にしているんだと思う。
現実社会でもアメリカとロシアではアメリカのほうがジェンダー問題は進んでいると思うのはネットをちょっと調べればわかってくる。
そして実はルーク・エヴァンスはゲイであると公言しているので今回選ばれたキャストはジェンダー問題と何かしら関係がある人が多いのかもしれない。

「プルートで朝食を」の主演を演じるキリアン・マーフィー↓

出典:IMDb

ボーイフレンドでもあるアートディレクトーのラファエル・オララとルークス・エヴァンス↓

しかし、これで終わるわけではなくアナが離れた後に二人はにらみ合いになり、アナは大切な母親のような存在だったKGBのオルガに撃たれてしまう。報われないと思って悲しすぎる。

出典:IMDb

出典:IMDb

出典:IMDb

しかし、アナは生きていたのだ!
撃たれることも想定済みで変装できるように髪を剃り金髪のカツラをかぶっていた。
すごい綺麗なだけじゃないんだ。坊主でも女性は女性。それでも魅力があり、女性の強さを見せている。

出典:IMDb

アナの願いは自由に生きること。願いを叶えるために愛する人を殺すわけでもなく、逆にアナが殺されそうになりながらも破滅を避け最後は撃ったオルガとアナの間に友情のようなものさえ見せる。アナを殺したと思っていたオルガはアナがノートパソコンに残したメッセージを見て笑顔で「ビッチ」と言って終わるのだ。まだアナは生きてると思ってのたぶん「アナは本当すごいよ、やられたよ、私が見込んだだけのことはある、このクソ女!(ニコ)」という気持ちだろう。
ちなみにオルガが赤リップなのは古い考えの女性だからと思うのが自然なんじゃないかと思う。

出典:IMDb

オルガを演じるヘレン・ミレンは海外記事によると要約すると

「性転換して女性になった人は女性です」
「人はどんな人にも男性と女性の側面があり男女と言う二つだけではない」

と言っているのでジェンダー問題に対して意識が高い人のようだ。

どちらが善で悪なのかなんて言えない。ステレオタイプのハリウッドのヒーロー映画では見せることの出来ない心の複雑さになんとも言えない切なさと複雑さを感じる。
絶望でも強くて賢い女性は見る人に自信と勇気を与えるだろう。少なくとも僕は勇気と希望と自信をもらった。ありがとう!と言いたい。
結果が分かってもまた見たいと思わせるのは最後までアナは自由を求め続ける姿は今でも世界で自由を叫び続ける人達とかぶるからだ。未だにまだ自由を求め続けないと自由がないと感じている人がいる世の中にアナを他人事ではないと思えてしまう。
男性優位な社会は現在でも存在し、マイノリティは生きづらく差別が当たり前のように存在している。成熟社会とは共感にこそヒントがあるのではないか?思わされる。
アレックスが全く共感していないから女性でありながら男性社会に染まっているオルガが共感しないから(一応友情のようなものはあるけど)、弱い立場のアナは振り回され最後は悲しいけどハッピーエンドという形でしか表現できなくなる。理解できない者同士なら結局は悲しいし誰も救われない終わりで、主人公の理想だけは叶えたという終わりしかならないのもわかる気がする。理性優先社会だけじゃ面白くもないし物足りない。感情も見るべきなんだ。それができないから日本人はマニュアル人間が多いって言われるんじゃないかな?って思う。
離れないと自由になれないけど愛しているって思われるのは悲しいけど幸せだよね。悲しいけどね。心を満たすことができないのが現代社会なんだと思うと物はあって幸せだけど心が悲しいというのと似ているかもしれない。
監督の心にも悲しいけど幸せ、でもそれが悲しい、という気持ちがあるのかな?と思ったりもする。

アナみたいな子は幸せにいつかなれると僕は思う。綺麗でモテても自分を出せず理性だけで生きて生真面目な人だといつか心の奥底が幸せを感じていないことに気づくんじゃないかと思う。大量消費で心を見ないことよりわずかなものでも満足を得ることが日本の美と幸せでそれが日本の良い面だと思う。そんなことを考えさえられた映画だったけど、フェミニストはそうじゃなくても平和な世界がいいんだけどなかなかまだそうなれない世界なんだろうなぁ。
世界はジェンダー問題と差別に溢れているからこそ、それを感じるなら映画ANNAアナは何か心に突き刺さるものがあると思う。

エンディング曲のタイトルは「My Beauty」は「私の美しさ」である。
歌詞の「You are never be the same my beauty」は「決してあなたは私の美しさと同じではない」ということなのでフェミニストっぽさを感じる。

Soundtrack #29 | My Beauty | Anna (2019)

アナ役のサッシャ・ルスは最初見たとき新しいミラ・ジョヴォヴィッチかと思った 笑
女性が強い映画にも当たり外れはあってルーシーは微妙だったし、トレーラーしか見てないけどアトミックブロンドはあまり惹かれない。レビューにアトミックブロンドよりANNA/アナのほうが上っていう人も数人いたけど、でもニキータとアトミックブロンドを見たことないので見てみようと思った。

監督は過去にレイプ問題があって不起訴にもなっているがそんな監督だけど監督の考えるフェミニズムはアナを見ると分かった気がする。金髪美人女性が攻撃的でちょっと過激なフェミニストにも見えるけど男嫌いなわけでなく最後には男性たちとも合理的に和解し自由と手に入れる。フェミニストは攻撃的で男嫌いなわけじゃないんだ、ただ分かってもらいたいでも分かってもらえないから戦っているんだというメッセージに思えた。ただ金髪美人女性がというのはちょっと飽きた気持ちもあるのと美人でない女性も出てきて欲しい気持ちもあったりするけどけど綺麗な強い女性が戦うのは見ていて楽しい。
ただ個人的にはもっと優しい世界が好きなので過激なフェミニストは好きではないけど戦わないといけないという意見も分かる。たまたまなのか世界中の有名フェミニストが色々叫んでいるときに公開されているアナはフェミニスト映画がトレンドになりつつあると思わされる。

気になったところ

それにしてもスパイって訓練したり勉強したり、ほげーっとしてたらダメだなぁ 笑

1960年に産まれる
1970年~1977年の間OMSK(Military)Acedemy(軍事訓練を受けるたところ)
17歳のときにこの学校をやめる。
1977年に両親が死ぬ
1983年にKGBに入隊
1985年にパリでスーパーモデルをやる
使える言語はロシア語、英語、フランス語、イタリア語、中国語、日本語

6カ国語を使えるとか頭良すぎる 笑

関連コンテンツ



スポンサーリンク
レスポンシブ 広告
レスポンシブ 広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする