映画ミッドサマーのアートから見えるフェミニズム

映画ミッドサマーには面白の形や色の組み合わせが出てくる。それらには意味がありフェミニズムと関係しているように見えてる。
監督が言っているわけではなくてあくまで僕が考えたものなので正しいかどうかは自分で判断してもらえばいいと思う。

まず簡単なミッドサマーのストーリーからわかるフェミニズムを説明すると、

1:彼氏役のクリスチャンが男性が女性を抑圧してきたから今度は男性が女性にやられる番だと裸で逆レイプ、女性主人公のダニーは彼氏に復讐した形となった。

2:主人公が女性であり西洋社会に復讐した結果になる。

3:舞台となるホルガ村は女性中心の社会。

4:ヒロインのダニー以外は助からない。

といったところだろうか。

僕が説明するのはアートがフェミニズムに関わっているという点である。
説明するアートは

1:ホルガ村に来たときにくぐった太陽の光のようなもの

2:クマが燃やされる舞台となる黄色の三角形の寺院のようなもの

3:ホルガ村にある服や壁画などの色や形

などからフェミニズムが関わっていると思えて面白かった。

1:ホルガ村に来たときにくぐった太陽の光のようなもの

これは前作ヘレディタリーでも出てきたので、ヘレディタリーが反キリスト、悪魔信仰で悪魔的なキリストの光背ととらえることもできた。ミッドサマーでも宗教に絡んだ話しなので主教メッセージなのかな?と思ったりもした。

しかしこの光の輪は実は宗教だけでなかくフェミニズムを含めたものだと思うことがあるのである。監督は映画のことを学んでいるのでおそらく映画の歴史を学んでいるだろう。アメリカの学校で学んでいるので戦時中から始まったハリウッドの歴史から勉強しているんじゃないかと思う。ミッドサマーの光の輪のようなものはシンプルであり何か工業デザインに見えなくはない。実はハリウッドの歴史のなかでアールデコという幾何学的で図形のようなデザインでありながら女性的なデザインが流行った時代があった。その当時の工業的なアールデコを取り入れた有名映画は1927年の「メトロポリス」である。女性がロボットというのもポイントなのと1920年代は初期のフェミニズム運動が起こったらしくアールデコが一番花開いたのは1925年のパリ国際装飾美術博覧会である。

またアールデコを取り入れたアクセサリーにミッドサマーのデザインに似ているものもネットにあった。幾何学的なサンバーストと中央の花柄みも見えるのも女性的と言えるかもしれない。

つまり映画ミッドサマーのデザインは初期フェミニズム運動を支えたアールデコを取り入れた映画なんじゃないかと思えたのだ。西洋社会の価値観が大きく変わったアールデコがミッドサマーの宗教要素も加わり現代の宗教のあり方、社会のあり方を否定しているようである。

2:クマが燃やされる舞台となる黄色の三角形の寺院のようなもの

寺院のようなものだけどこのデザインには意味があると思うことがあった。
今回はスウェーデンが舞台なためスウェーデン要素が取り入れられている。重要なのが北欧神話に出てくる架空の木のユグドラシル。この木の象徴としてヴァルクナットという三角形が重なったシンボルデザインがある。

個人的にはヴァルクナットのデザインはシンプルで幾何学的なためアールデコと言っても変ではない。スウェーデンのデザインとアールデコを重ねた意味があったとしたら三角形の寺院自体にもフェミニズムデザインがあったのかと思えてもくる。また三角形を使ったアールデコデザインも他にもネットで見つけることができる。


そもそもスウェーデンのデザインは幾何学模様や女性的というかカワイイものが多い。ハリウッドの初期の歴史と初期のフェミニズム運動は女性らしさを取り入れたものなので映画ミッドサマーはスウェーデンのカワイイデザインとフェミニズムを重ねているのかもしれない。

3:ホルガ村にある服や壁画などの色や形

カワイイデザインやフェミニンなデザインが多くてホラーなのにデザインから女性を思わせるメッセージ送っているようである。
多くの人が綺麗やカワイイと感じるホルガ村の白い服装、色とりどりのかわいらしい花の冠、壁に塗られているデザインで特にフェミニンな印象なのが熊のデザイン。

オーガニックな印象を与えるなめらかに曲がった花と炎のデザイン。このようなデザインはアールデコの前のデザインの女性を前面に出したアールヌーヴォーのデザインにも似ている。
アールヌーヴォーは花柄やエレガントに曲がったデザインが特徴である。

アールヌーヴォーのデザイン例↓

映画で使われた絵画にスウェーデンのヨン・バウエルの熊の絵が使われている。ヨン・バウエルの作品を使うことでミッドサマーの結末とかぶせながらもフェミニズムとフェミニズム運動を示しているのではないかと思ったりもする。
その理由は
ヨン・バウエルの継承者のスウェーデン系アメリカ人のグスタフ・テングレンというデザイナーがいてヨン・バウエルの作品を見せることで継承者のグスタフ・テングレンも連想すること。この連想が初期ハリウッドとアールデコが流行ったときにアールデコからもデザインを学んでいたグスタフと初期フェミニズムを関連して考えなくもない(グスタフはもちろん他にもいろいろ影響を受けているドイツ表現主義とか)。
映画ミッドサマーは監督のインタビューからも西洋批判やエンタメ産業映画ばかりなっている現代の映画批判も含んでいると思う。ハリウッドの歴史でも社会を批判しフェミニズム運動が起こり映画の中にもフェミニズムを含んだアールデコデザインの映画メトロポリスがでたりしていた。ただのスウェーデンの物語の熊と少女の絵のはずだけど、ただの絵ではなくハリウッド批判と初期フェミニズム運動さえ連想させてくるようにも考えるのは考えすぎだろうか。

それとヨン・バウエルの作品はカーブを描いているものや女の子が出てくるのでフェミニンな印象を受ける。この作品から影響を受けた有名な人の一人はファイナルファンタジーのキャラクターを作った天野喜孝氏だろう。繊細な線のクオリティと女性をメインで描がいていることも多くあるのでフェミニンな影響を受けていると思えてくる。
つまりヨン・バウエルはフェミニンな影響を与える作品だと言えるかもしれない。

ヨン・バウエルの作品↑

天野喜孝氏の作品↑

そしてたまたまなのかヨン・バウエルの葉っぱの冠をかぶった少女が頭にろうそくを頭に立てている作品とミッドサマーの女性がろうそく壁の絵がどことなく似ている気がする。少女の背景は青い空と青い水のようなものが描かれていると思う。壁の絵にも水がかかれている。
スウェーデンの頭に冠をかぶってろうそくを立てるのはスウェーデンのお祭り聖ルシア祭だ。聖ルシア祭では冠をかぶったルシア姫が先頭で白いドレスにの女の子と星の使いの男の子が貧民に光を与えた光の聖人ルシアを称えるために歌うらしい。この二つの絵は女性の聖人を称えていると思うので現代で言えばフェミニズムがあるかと言えばあると言えるんじゃないかと思う。

ヨン・バウエルの作品はもしかしたらイギリスなどの耽美主義(たんびしゅぎ)という綺麗なものを道徳、倫理を越えて追求いていく考えの影響を受けているかもしれない。そう思うのも一例で実際のイベントのミッドサマーに影響を受けて絵を描いた人に耽美主義者のイギリスのエドワード・ロバート・ヒューズという画家がいる(1851年11月5-1914年4月23日)。

ロバート・ヒューズのミッドサマーイヴ↑

同じ時期にヨン・バウエルは生きていて(1882年6月4日ー1918年11月20日)
19世紀後半にフランスやイギリスを中心に起こったこの考えをスウェーデンにも広がっていたと考えても変ではない。耽美主義の作品はグロテスクなものもあるがかわいいものもある。
ヨン・バウエルの作品もファンタジーであり若干暗い要素を含んでいる。美がすべてではないが、現代でも「かわいいは正義」という人がいたり現代のフェミニズムで言えば自分を抑圧して好きなことができないことから解放する、素直になると解釈をできなくもない。そう考えるとヨン・バウエルの作品が耽美主義の作品がフェミニズムな印象を与えるのはおかしくない。
また映画ミッドサマーがグロテスクな一面を持つ耽美主義を映像にしたものと考えることもできるかもしれない。耽美主義の姿勢は道徳も無視した美の追求なので社会からすると反社会的、悪魔的、批判的な一面はあるが考え方としては新しいものを追求しだしたルネッサンスのようなものだと思う。新しいことはいつも反社会的と言われ批判されるものだと思う。1920年代に初期フェミニズム運動が起きるまでは多くの女性は工場勤務で女性のアーティストなんてかなりレアな存在だと思うしほとんどが男性がデザインをしていたと思う。それがアートデコが出てきて初期フェミニズムが起こり新しい美をハリウッドを巻き込み追求しようとしたこともルネッサンスのようなもの。そんな抑圧からの解放と映画ミッドサマーのテーマは共通していると思うので映画ミッドサマーはアートの視点からもフェミニズムを強く含んだ映画だと言えるだろう。そしてミッドサマーの今まで見たことのないホラー映画や世界中が大きく変化しようとしている今は令和のルネッサンスの始まりかもしれない。

まとめ

映画ミッドサマーはまるで現代風に見せながら初期ハリウッドと初期フェミニズムの歴史を再度見せてフェミニズム運動を起こしているかのように見える作品にも見える。
初期ハリウッドは成長期でありながら混沌とした時代だったと思う。批判、運動、挑戦と様々なものが絡んでいる。今の産業映画中心の映画とは大きく違うのだ。
ホラーを使ったフェミニズム運動と思うとすごい映画だと思う。フェミニズムは段階があって色々勘違いしている人もいるが重要なのが「解放」ということで昔なら女性解放運動だけど今は男女ともに言えることだしフェミニストが文句をいいすぎて逆に苦しめている部分もある。そこでそれは違うんじゃないかというのがエマ・ワトソンのフェミニズムである。不必要になんでも否定するのではなく本人がしたければ今までのフェミニストが批判していることだってやったっていいじゃないかということなのだ。全く女性が受け入れられない昔の社会とは現代は違うし女性だけに拘らず男性にもフェミニズムが当てはまるのが現代だ。映画ミッドサマーがフェミニズムを含んでいるフェミニズム運動を連想させるから、フェミニストが「そのフェミニズムはおかしい!」や「男性嫌いのミソジニーだ!」というのは違うんじゃないかと思う。あくまでその意味は抑圧からの解放なんだと思う。ダニーが解放されるように監督が監督の気持ちから解放されるためにも作った作品であるように。
あと勝手な想像だけどもしかしたらスウェーデンから映画にフェミニズムを含むように言われたんじゃないかと考えてしまう。なぜかというとスウェーデンを含む北欧はフェミニズムが強くある場所だと思うのとスウェーデン政府もフェミニスト政府とはっきりホームページで公言している。スウェーデン政府のホームページ
スウェーデンが一緒に映画を作るんだからフェミニズムがないことはありえない!と考えることは全く無理がない。世界のフェミニズムより進んでいると思うスウェーデンのフェミニズムを世界に発するために作ったともいえるかもしれない。フェミニズムを人権の問題であり民主主義と正義の問題とはっきり考えるスウェーデンだからフェミニズムがおかしい西洋人がホラー映画内でどんどん死んでいくの理にかなっていると思う。

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