【感想・ネタバレ・考察】Swallow/スワロウ  考えさせられたフェミニズム映画

この映画はサスペンス映画なんだけど、あまりハラハラすることもなく主人公のハンターが異物を飲み込んでしまってそれを取り出すのがちょっとだけグロかったかなーという映画。
見る人によってはスリルもないので退屈な映画だと思う。

主人公のハンター↓

この映画の主なメッセージは女性の解放だと思うが、他のメッセージとしては「お金優先の社会じゃダメだ」や「精神疾患にかかわる医者や病院は信用できない」「中絶賛成」などといったメッセージは少なからず含まれていると思った。フェミニズムの強い映画だ。

ざっくりネタバレ

主人公はお金持ちエリートと結婚した女性で最初は幸せそうな雰囲気で進んでいく。

しかし、実は夫は親切に見えて何も主人公のことを考えていない、女性を飾りものか女性を家にいて支えるだけのものだと思っている古臭い男性だったのだ。主人公は友達も趣味もなく不安定な心を整えるためにしだしたことが異物を飲みこむことだった。

そんな不安定な感情をさらに不安にさせるのが夫の母親で、あるとき彼女が主人公に「幸せなの?それとも幸せのふりをしているの?」と聞いてきて主人公はすぐに返答できず少しだけ考えた後「幸せです」と応えるのだった。
我慢して主婦として生きなければいけない女性がここでは描かれている。
部屋は広いのに一人で掃除から料理までしていると考えるとお手伝いさんでも雇ってちょっと楽したり話し相手になってもらわないと病むのもわかる気がする。

異物を飲むことをますますやめなくなった主人公は一時的に気持ちは安定していくがあまりにいろいろ飲み込んだことで倒れてしまい緊急手術となってしまい夫にバレてしまう。

夫によって用意されたシリア人に主人公は監視されだし、黒人のカウンセラーは内緒にするべきだと思う主人公の両親のレイプの話を夫が「話せないならもう妻を合わせない」というのでしぶしぶ話してしまう。

ここから話は急展開していく。夫はそんなこと知らなかったと怒るし、家族ぐるみで精神病院に主人公を入院させようとしていく。精神病院に入院させようとする判断は正しいように見えて実は主人公のためになっていないのである。

病院に行く日に一度、主人公はスマホを取りに部屋に戻ったとき、監視役のシリア人の助けをかりて窓から逃げるのである。

ヒッチハイクにより何とか逃げることができた主人公はモーテルから追い出されたり実の母親は余裕がなく最後に向かったのがレイプ犯でもある実の父の住んでいる幸せそうにしている家庭だった。

ちょうどホームパーティーを開いていたのでうまいこと家の中に侵入することができて直接話すことになる。最初は戦いが始まるかと思いきや、話し合いにより意外と優しい実の父だった。

映画では説明されていないが、お金もないはずだけど中絶するためにピルをお医者さんからもらっているので、おそらく父の助けをかりて独り立ちできるようにしてもらっているのではないかと思う。赤い血の色に染まっているトイレの水が悲しい。

映画は女子トイレの中を見せながら終わっていく。まるで女子トイレでは洗面台で手を洗うだけでなく化粧をしたり様々なことをしている女性の解放そのものを象徴しているように見せてくる。
主人公はここからまたやり直すのである。
もちろん女性トイレには男性のような見た目の女性も含まれている。それが最初の黒人である。

フェミニズム映画は最近多し、そんなに女性が抑圧されているのだろうか?と考えてみると社会的弱者の女性は多いと思えてくる。
お金持ちエリートだろうが資本主義だろうが人の気持ちを理解しようとしない人と一緒にいることは主人公のように不幸になってしまうのだろう。

今回の映画のアイデアは監督の祖母から得たようで祖母と主人公はリンクしていると思う。インタビュー記事によると1950年、監督の祖母は精神病と診断され夫に入院させられ、精神病棟では様々な療法を試され、さらにロボトミー手術までされている。ロボトミーについて知らない人がいるかもしれないが身近にこの手術を受けた人がいたら心に深く傷が残るかもしれない。簡単に言うと脳のなかを物理的にぐちゃぐちゃにして落ち着かせようとする手術であり、手術後はゾンビのような人になったとかならないとか言われている。それにより死ぬ可能性は高く監督の祖母が亡くなったかどうかはわからないが今では行われてない危険な手術である。当時のアメリカの精神病患者は精神病棟の中で人間扱いをされていないという話は色々言われており祖母はぐちゃぐちゃボロボロにされたに違いない。女性らしく家庭を支えなければいけないという古い考えがある時代に幸せを演じて生きなければいけない女性が多くいて、その結果で心が病み入院させられそしてロボトミー手術後にはゾンビのようになったんだろうと思うと子供の頃の監督にはトラウマを残したかもしれないし、精神科医を信じなくなるかもしれない。それが少し分かったような気がするのが、カウンセラーはレイプについて夫に伝えてしまうし主人公は病院なんていきたくなくて逃げる。逃げても結果的に解決する方向に向かうのだ。そんな監督だから女性の解放を主なメッセージとした映画を作ったのは自然なことなのかもしれない。
ちなみに日本の精神病棟も問題を抱えていると言われている。2017年にはニュージーランド人が日本の精神科病院でありえない扱いを受けて亡くなっているとたくさんのメディアが報道している。

話を映画に戻して中絶についてだけど、個人的には中絶は出来れば反対したいが主人公のようにつらい状況ではなかなか反対とは言えない。中絶を選ばないでいられる人は少なからずお金の面で問題を抱えない人か誰か助けてくれる人がいるんだと思う。例えばフィリピンなどでは宗教の影響もあるが中絶をしない人は多いけど大家族というのもあって周りの人が助けてくれるケースは多いだろうし、世の中の人がお金に苦しまないならトランプの長女イヴァンカやセレブリティーのように中絶反対を明言してもいいだろう。だけど世の中はそうじゃないのである。特にアメリカでは格差がひどく大家族というわけでもないので中絶を選ばないといけない人はたくさんいるはずなのだ。なかなか難しい問題を取り扱っている映画だと思う。

いつも思うけどなんで映画で見せる豪邸は殺風景なんだろう。韓国映画のパラサイトでも豪邸は殺風景だったし、物質的に恵まれているように見えて実は心は満たされていないっていう設定は1999年の映画ファイトクラブでもそうだった。今までの生き方を見直すことはいつの時代も映画からの発信で見つけることはできるけどいつになっても社会は変わらないのである。

ただこの映画は見ているだけだと本当につまらないと思う人はいるだろうから、一度見て考え直してから見ると面白いかもしれない。もしくは時間がないならネタバレや考察を見て一度見て考えられるようにしておくほうが映画のことを分かるだろう。
またこの映画は異物を飲み込むというめずらしい映画であることは間違いなく、珍しいもの好きは見ると楽しめるかもしれない。

簡単にまとめるとこの映画は良かった面白かったと言えるけどちょっと不満なこともある。
フェミニズム映画はいつも女性を強く自立した人にしようとするけど、みんなが強くなれるわけではないから強くなれない人にはだたの理想論でしかないんじゃないかーと思うこと。主人公のハンターは運もありコミュニケーション能力が高いからエリートと結婚できたんだと思うし、父親に会うことをためらわなかったわけだ。強い人でも病むけどそれでも自立できるように人生を持っていけるという積極性と力を感じる。それができない人もいると思うからどうしてもアメリカ映画あるあるの自立した強い女性を見せていることに、なんかちょっと違うなーと思うのである。アメリカの社会構造は強くならないといけないからステレオタイプとも少し感じるアメリカのフェミニズムをすべて正しいと受け入れることに疑問を感じる。もちろんこの映画はフランスとの合作だから綺麗な雰囲気はあるんだけど、多様性を見せながらマイノリティーに寄り添っているように見せながら結局強い人じゃないとダメで、マイノリティーや多様性に寄り添ってないんじゃないかなと思ったりもする。やっぱり考え方がマッチョな映画多いなぁ。

結局、人生でやりたいことがあったりワクワクすることがある人が輝いてみえるしそれがアイデンティティの確立につながり主人公のハンターみたいに苦しまないで生きる方法なんじゃないかなーとか思ったりもした。ガールズパワーを単純に賞賛するんじゃなくて社会構造の問題や家庭問題など複雑に絡んでいるからガールズパワーだけじゃ根本的な解決にはならないんじゃないかなーと。日本の年始最初にこの映画の公開という意味を考えると、フェミニズムを2021年は推していくという強い意思表示なのだろうか? 笑
2021年1月1日公開や1月にトランプ引退する可能性がありリベラルの勝利となるかもしれない。リベラル映画の社会への影響力はものすごいんだろうなぁ。
最近、イデオリギー全開、ポリテク押しの映画は多すぎてそんなこと気にしない映画もたまには見たい。フェミニズムエンタメ映画としては興味深く見れた。

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