「あなたはアメリカで必要な人です」と言われた話 

必要な人とはどういう人だろう?

スキルがある人、貢献できる人、お金がある人など色々あるがそれらとは違って精神面からでも実は必要な人と言われることがあるのである。

授業はざっくりいうと「世界のアートの歴史から見る考え方の違い」のようなクラスだった。
そこで西洋と東洋を比べながら異なる文化から生まれるアートが見せる意味と精神性を古代から現代にかけて学びながら考える授業だった。
クラスは読むものが多くてかつ分析が必要で難しいと聞いていたのでオンラインで受けていた。

僕はこのクラスで日本の精神性を調べて話すことにしていたんだけど精神性ってあいまいになりがちでそれを出来るだけ分かりやすくして論理的に説明して西洋文化の人が聞いても納得できるように心がけていた。
そうしたら最初は僕の意見がクラスで浮いているかなーとかいい過ぎているのかな?とか思っていたけど次第に僕の意見を楽しみにしてくれるクラスメイトが数人でてきて、僕の意見に影響されて日本のことを調べだす人が現れ、いつも一番か二番に宿題を提出していたので他の学生は僕の意見にかなり影響されたと思える毎週の課題を出すようになっていた。そして最後の授業では「君がいたからクラスが面白くなった」「君がいてくれて良かった」と数人のクラスメイトに言われるようになって最後に先生から「あなたは必要な人だ」とメールで言われたのである。たとえメールで言われたことでもこんなことを言う人はほとんどいないし丁寧な文の構成だったからテキトウーに言ったことではないと思っている。

こんなことあるんだ、ってびっくりした。普通わざわざたかが一人の留学生にあなたがいて面白い授業になったなんて言うことは他の授業ではほぼない。

テーマがいくつもあって、例えば日本人の切腹やらヒンドゥー教の夫のために妻が死ぬサティーについてとかアメリカのナイトと日本の武士の違いやら様々なことを考え、それをなぜそういうことが起きるのかとか現代にもそれらの精神性は残っているのかなどを説明するのである。そしてそれらをアートへの影響などを考え自分の意見を言うわけである。僕は日本のことやアニメのことも含めて話していたら反応が悪くてめんどくさいと思って授業を取っているアメリカ人から面白がられてコメントを多くもらったこともあった。難しい授業を取りたくなくてもしょうがなく取っている学生はたくさんいるのである。

一神教の世界と多用な神々のいる世界から見るものは見え方が違うわけだし学生の意見も様々でどれが正しいとかはなかなか言えない。でも考えるのが難しいからこそ答えがまとまりづらいくて他の人が納得できそうなことを早い段階で言えたら注目されやすくてクラスへの影響も大きいので先生の評価が良かったのだろうと思う。

僕の中で印象に残ったのは先生だけでなくあるアメリカ人2世の学生についても印象に残っていた。
僕は歴史から見ていく日本の調和の精神性と正義を西洋と比べながら説明していたのだけど、クラスメイトの一人にアメリカで生まれた移民二世の人が言っていたのが

「アメリカで今まで生きてきて違和感を持っていたけどこのクラスを取ってあなたの意見から自分の違和感を理解できた気がします」

みたいなことを言われて僕の発言はセラピーかなんかか?なんて思いながらも良い影響を与えたことが嬉しかった。
日本人の持つ考え方がぶっささる人がいるのはアメリカの現代の問題も関係していると思う。
アメリカには移民や留学生はたくさんいるけど日本からの留学生は少ない。そのため日本人の考え方はアメリカ人からすると意外と知らなくて驚くこともあるし、多様といいながらも移民二世は考え方がアメリカナイズされてしまい移民一世の親の考え方や気持ちが意外とわからないんだと思う。だから自分の家庭や本人自身が他と比べて何かおかしいと思いながら生きている人たちがアメリカにはいるのだ。なのでその移民2世の学生は僕の意見が明らかにアメリカではみない考えだったのでそんな意見でもいいんだ、そんな生き方もあるんだと思えたんだと思う。

そして建国してまだ浅いアメリカは文化や伝統が育っていないから精神面も不安定になりがちで日本や東洋のメンタリティや精神の充実のしかたに魅力を感じるのかもしれない。
それにポリコレで男女平等とか叫んだりエンタメでも女性がヒーローになりつつあるアメリカからすると日本の女神信仰やら女性ヒーローの多さに驚くし、LGBTQについて騒ぐ世界やキリスト教が同性愛を拒否してきたことに対して日本は昔から露骨な拒否もないしLGBTQに関する差別なんて聞いたことがないことにも驚かれるのである。さらにアニメではかわいいキャラクターだけでもなくフェミニンな男性もたくさんいて現実社会でも男性がピンク色の服を着ても変じゃないことはアメリカ人からすると目から鱗なのである。日本とアメリカでは真逆の世界であり異世界転生の話なのだ。

そのため

「日本はアメリカからするとアメリカの当たり前ではなくアメリカのルールと外れている世界に見える」

などのようなことを言われたことがあったがそれは違法な国と言うことではなく良くも悪くも違いがあり魅力もある国だということなのである。

さらにある中国人留学生が日本のアニメに詳しくて日本のことも好きなんだけどその人が

「女神なんて日本にいないでしょ?」

ということを言っていたので日本最高位は女神アマテラスで女神信仰だと教えたことに驚くのは留学生だけでなくキリスト教徒の学生も男性優位のキリスト教徒についてはがゆく感じていたのである。先生も恐らく僕の意見に賛成していたと思う。そう思うのは先生がお勧めしていた本を僕は実はチェックしていてそこに日本のアマテラスについて書かれていたのである。なので僕の意見に先生から反論はなくさらにクラスメイトが本をチェックしていないこともわかってしまったのである。

このように色んな発言をしてクラスメイトにも影響を与えた僕の全く違う考えを先生は納得できるからこそ多様なアメリカには「あなたのような人が必要だ」と言ったのだと僕は思っている。オンラインでクラスを受講したからこそ色々言えたことなのでオンラインじゃなかったらたぶんクラスのスピードの早さについていくのが大変でさらにみんなの前でプレゼンもしないといけないらしかったから厳しかったかもしれない。

この事から必要と思われるには違う考えが必要で発言が必要なんだと思った。なぜならただ黙って当たり障りのない発言だけではクラスメイトからも先生からも注目をあびないし魅力も感じてもらえない。
日本人はアメリカでは少ないし日本人の考えを色んな意味で良くも悪くも面白さがあるから発言したほうが日本人の魅力が増すだろうと思えた。それに大量消費が好きで物にあふれてしかも雑なアメリカだからこそ真逆のミニマリストのような日本人の考え方はさまざまなところで学べることが多いんだと思う。

ちなみにアメリカにとって必要なんだったらグリーンカードが欲しいものだとぶーぶー文句を言ってしまう、無理だけど 笑
精神面だけではグリーンカードはもらえないのである、残念。

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